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「相反作用の定理」   【作:ゲコ】

1)Prolog 10

「人の立場になって考える」。とても大切なことです。しかしそうするための具体的な手法については、あまり語られていないようです。今回は、人の立場になって物事を見るためのツールとして、「相反作用の定理」を紹介します。

2)相反作用の定理

連続した弾性構造物のi点に荷重Piを加えた時のj点の変形量をVjiとし、同じ構造物のj点に荷重Pjを加えた時の、i点の変形量をVijとすると、
 Pi x Vji = Pj x Vij ―― (1)
これを、マックスウェル−ベッティの相反作用の定理、または相反定理と言います。
作用する荷重が等しい時(Pi = Pj)、(1)式は、
 Vji = Vij ―― (2)
また、(1)式を一般的に書くと、
∫∫∫( X * u´+ Y * v´+ Z * w´) dxdydz
+ ∫∫(Px * u´+ Py * v´+ Pz * w´) ds
= ∫∫∫( X´* u + Y´* v+ Z´* w) dxdydz
+ ∫∫(Px´* u + Py´* v+ Pz´* w) ds ―― (3)
ここで、
 X,Y,Z     : 応力状態(I)における物体力(N/m^3)
 Px,Py,Pz   : 応力状態(I)における表面応力(N/m^2)
 u,v,w     : 応力状態(I)におけるx,y,z軸方向の変位(m)
 X´,Y´,Z´  : 応力状態(II)における物体力(N/ m^3)
 Px´,Py´,Pz´: 応力状態(II)における表面応力(N/ m^2)
 u´,v´,w´  : 応力状態(II)におけるx,y,z軸方向の変位(m)

3)相反定理を使用して構造計算を簡単にできる例

両端A,Bで支えられている単純梁の中央部C点に荷重P[N] が作用する場合(下図)
相反作用の定理

A点からx[m] ( 0<=x<=(L/2) ) の距離にあるD点の変形量δD1[m]は、
 δD1 = (P * x)/(12*E*I) * (3/4 * L^2 – x^2) ―― (4)
  E = ヤング率
   : 材料の種類によって決まる係数(単位:N/m^2)
  I = 「断面二次モーメント」
   : 梁の断面形状によって決まる係数(単位:m^4)
  L : 梁の長さ = AB間の距離 [m]
で 求められます。
D点に荷重P[N] が作用する場合の、C点の変形量δC1[m]は、相反定理より、
δC1=δD1=(P * x)/(12*E*I) * (3/4 * L^2 – x^2) ―― (5)
同じ単純梁に、両端で荷重0、中央部で荷重q[N/m]となる3角形分布荷重が作用している場合の、中央部C点の変形量δC2[m] を求めます。
D点における分布荷重w[N/m]の大きさは、
w = q * (x / (L/2) ) = 2 * q * x/L ―― (6)
D点を含む微小区間に作用する荷重によるC点の変形量δC3[m]は、(5)式のPを、(w * dx)に置き換えて、
δC3 = ((2*q*x/L)*dx * x) /(12*E*I) *(3/4*L^2–x^2))
したがって全分布荷重によるC点の変形量δC2[m]は、
δC2 =2 *∫δC3 dx | 0<=x<=(L/2)
  =2 *∫((2*q*x/L)*x /(12*E*I)*(3/4*L^2–x^2))dx
  =(q * L^4)/(120 * E * I) [m]
と求められます。

4)相反定理の応用
 
前項の例からわかるように、「相反定理」とは、「連続した均一な系において、ある場所に作用した力による別の場所の影響は、その別の場所に同じ力が作用した時の元の場所の影響に等しい」ということです。

系を「人間社会」、場所を「人」に置き換えると、「ある人の行為によって別の人が受ける影響は、その別の人がした同じ行為によって元の人が受ける影響に等しい」。
人間の心は必ずしも均一ではないものの、傾向としては相反定理が成立するでしょう。
例えば、「AさんがBさんの借金をY円踏み倒した時のBさんの悔しさ」は、2人が同じ財力、同じ心の広さと仮定した場合、「BさんがAさんの借金をY円踏み倒した時のAさんの悔しさ」に等しい。
この定理を使うと、「自分がこうされた時、どう感じるか?」と想像することで、「相手の気持ちがわかる」ようになると考えられます。

5)相反定理適用の拡大
 
相反定理はその他にも、いろいろな場面で使われています。
いくつかの例を上げて、説明してみます。

(1)バラエティ番組「8時だよ!全員集合」
ザ・ドリフターズのコントに見られる次のシーン。
茶の間のセットで、一枚の天井板(Aとする)が外れて垂れ下がっている。これを押さえて元に戻すと、別の天井板(Bとする)が外れて垂れ下がる。 Bを戻すと、今度はまたAが下がる。
Aを戻した時のBの垂れ下り量 = δBA
Bを戻した時のAの垂れ下り量 = δAB
とすると、同じ力で押した場合、
δBA = δAB
相反定理を利用したコントの例と言えます。

(2)SF小説「おーい。出てこーい。」
星新一氏の名作SF短編小説「おーい。出てこーい。」
この物語に出現する穴をB点。人間社会をA点とします。
A点から投げ入れてB点へ出て行った量=MAB
B点から出てきてA点に投げ込まれる量=MBA
B点を人間社会以外の地球環境と考えると、A点とB点は連続した系なので、相反定理より、
MAB=MBA
すなわち、穴に投げ入れた分だけ戻ってくる。
相反定理によって小説のメッセージを推察できる一例です。

(3)創作漫才「真似するな」
漫才において、同じ性質を持った2人が掛け合いをした場合、
Bのツッコミに対するAのボケ=WBA
Aのボケに対するBのツッコミ=WAB
とすると、相反定理により、
WBA=WAB
つまりAが言ったセリフと同じセリフをBが返し、Aが切り口(力の作用点)を変えても、Bはまた同じセリフを繰り返して、そのやり取りがいつまでも続く。平たく言うと、ボケとボケ、ツッコミとツッコミでは、漫才にならない。
この原理を利用して作られた作品が、ギャグ研究会の「真似するな」(作=甲氏、相方=乙氏)です。
・・・(前略)
甲(A):「君、ぼくの真似してる?」
乙(B):「君、ぼくの真似してる?」
甲(A):「真似するなよ」
乙(B):「真似するなよ」
甲(A):「君が真似してるんやろ」
乙(B):「君が真似してるんやろ」
・・・(後略)
このやり取りが、延々と続く。
甲氏は元々ツッコミ役だったのですが、コンビが変わったとき、新しい相方・乙氏がボケをできなかった。
そのためボケ役にならざるを得なかった甲氏が、自分の思いを込めてつくったのがこの作品ではないかと、私は推測します。
延々と続く繰り返しの中で甲氏は、「おまえはなぜボケないんだ?」と乙氏に抗議していたのかも知れません。

6)Epilog 10

以上、さまざまな例によって、相反定理が実に多様な場面で使われていることが理解いただけたと思います。
この定理は、一対一の人や物にとどまらず、一人(個)と複数人(個)、さらには一人(個)と社会全体の間に適用を広げていくこともできるでしょう。
「世界を知ることは自分を知ること」。同時に、「自分を知ることは世界を知ること」。
みなさんもこの定理を、人と人との相互理解、そして自分と世界を知るために、利用してみてはいかがでしょう。
| 二足のわらじ | 00:54 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |

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Comment
難しい事を身近なことに置き換えて考えてみる。考え方がとても面白いです。
2010/08/25 12:10 PM, from ゆずポン@弾性力学テスト勉強中









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